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【過失割合基本図】両方動いていたら100対0にならないってホント?

 最近交通事故についてもインターネットで多くの知識が学べるため、事故の知識についても、世間でよく言われていることについては、知っている人も多いと思います。その一つに『どっちも動いているから過失はゼロにならない』という言葉があるのではないでしょうか?

 これは保険会社がよく使う言葉でもありますが、定説的によく言われることです。根拠となっているのは『判例タイムズ』という書籍(他にも青い本、赤い本と呼ばれる本もある。)に、事故

態様ごとに書いてある『過失割合基本図』です。知っている人も多いと思いますが、例えば『交差点での出会いがしら事故では、止まれの有無、信号の有無などによって、基本過失割合を何対何とする、と初めから過失割合ががある程度決められており、そこから、「○○だったらこっちに±○○」といったように、これまた決まった数字で基本値に加減算して過失をきめていく、というのが実務での事件処理の仕方として定着しています。

 基本図を見ると、双方の動いている態様の事故については、どっちかの過失が大きい、ということがあっても100対0と定めているものはほとんどないため、動いていれば100対0なし、という考えが当然のように言われるわけです。

 あと保険会社は、過失割合を語るときに、よく「判例ではそうなっている」ということも多いですが、これは、過去の判例を集積して統計化したものが判例タイムズの過失基本図である、とされているためです。ただ、このような考え方は、実際には正確ではありません。双方動いている事故での100対0というのは、実際の裁判例にも存在しており、実際には判例タイムズには数値だけでなく、定義もたくさん定めていて、事故処理の仕方について細かく定めていて、図と似たような事故状況であっても、基本図が当てはまらない場合まで定められています。

 そもそも運転者に過失がみとめられる理由として、難しい言葉で言えば、「予見可能性」「結果回避可能性」「結果回避義務」というものが運転者にあったかが判断されます。大雑把に言えば、事故発生を予想できたか、予想できたとしたら事故拡大を減らす動きはできたか、そうする義務はあったか、ということを見るわけです。

 例えば信号のない交差点で優先側を走っている場合でも、左右の道路から車や人が飛び出してくる可能性は普通予想できるから、非優先の車両と大きな事故にならないよう、交差点手前では十分に減速すべきだし、それはブレーキを踏めば可能、といったことを考えるわけです。

 判例でも基本図は普通に用いられますが、裁判では、過失の加減算要素のほか、そもそも基本図の適用場面に当たるか、について論議を尽くせば、実は過失割合について変動することはあり、100対0を実現することができることもあるわけです。平たく言えば、保険会社の言い分を真に受ける必要性は必ずしもない、ということです。

 当事務所では、裁判で過失割合を争うことには力を入れており、実況見分調書や当事者の言い分(矛盾や不合理性)などから細かく事故状況を分析したうえで主張し、保険会社の提示や基本図の基本値を変えさせて依頼者に有利な判決を得たことも度々あります。

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